2025/04/03 15:00

シャンパンは、フランスの北東部に位置するシャンパーニュ地方で、タンクや樽ではなく瓶の中で二次発酵を行うことによって造られる発泡性ワインのことです。現在シャンパンと言えば辛口のスタイルが主流ですが、実は歴史的には甘口のものが一般的だったことをご存じでしょうか?

19世紀、複数のメゾンが辛口シャンパンを世に広め、それが現在のシャンパンのスタイルの礎を築きました。そして近年では、糖分を加えない「ノン・ドサージュ」のシャンパンが人気を得ています。

今回は「ノン・ドサージュ」について詳しく解説し、おすすめのノン・ドサージュ・シャンパンをご紹介いたします!ぜひ最後までご覧ください。



辛口シャンパンの確立

シャンパンの味わいは時代とともに変化してきました。19世紀半ばまでシャンパンはかなりの甘口スタイルが主流で、その残糖量は「1リットルあたり150グラム」にも達していたと言われています。現在の基準では甘口シャンパンの残糖量は「1リットルあたり50グラム以上」のため、19世紀のシャンパンにはいかに多くの糖分が含まれていたかが分かります。

このような甘口シャンパンは特にロシアの貴族たちの間で好まれ、シャンパンの大部分がロシアに輸出されていました。


辛口のシャンパンが世に出たのは19世紀後半頃になってからでした。

シャンパーニュ・メゾン「ペリエ・ジュエ」は、1842年に同社初の辛口シャンパンを誕生させ、同時期に、「ポメリー」は商業的に成功した最初の辛口シャンパンを生み出し、共に辛口スタイルのシャンパンを世に広めました。

歴史的な解釈や記録の違いはありますが、いずれにせよ、こうしたメゾンの革新的な試みがあったからこそ今日の「辛口シャンパン」のスタイルが確立されました。


そして、その進化の先にあるのが、今回ご紹介する「ノン・ドサージュ」のシャンパンです。



そもそも「ドサージュ」とは?

まずベースとなるワインを造り、そこにリキュール・ド・ティラージュ(ワインに糖と酵母を加えたもの)を加え、瓶内で再発酵を促します。この過程で炭酸ガスが生まれ、シャンパン特有の、ワインに溶け込んだ細やかな泡が生まれます。

発酵が終わると瓶の中には澱(役目を終えた酵母)が残るため、澱を瓶口に集めるために瓶を動かします(ルミュアージュ=動瓶)。その後、一か所に集めた澱の部分を冷却し、瓶内の気圧を利用して澱を取り除きます(デゴルジュマン=澱引き)


澱引きした後は極辛口のため、ワインに糖分を加えたもの (リキュール・デクスペディション:門出のリキュール)を添加します。この添加する作業のことを「ドサージュ」と言います。

そして、この時の糖分量によりシャンパンの甘辛度が決まります。


糖分添加の少ないのものから順に、

極辛口 Brut Nature ブリュット・ナチュール:3g/L以下(または全く糖分添加をしていない)

極辛口 Extra Brut エクストラ・ブリュット:06g/L

辛口  Brut ブリュット:12g/L未満

中辛口 Extra Dry エクストラ・ドライ:1217g/L

中甘口 Sec セック:1732g/L

甘口  Demi-Sec ドゥミ・セック:3250g/L

極甘口 Doux ドゥー:50g/L以上

※数値は残糖量です。


このように、ドサージュはシャンパンの最終的な味わいを決める重要な工程となっています。



「ノン・ドサージュ」の魅力と特徴

シャンパンの味わいを決める重要な工程であるドサージュ。しかし、あえて糖分を加えず、よりピュアなスタイルを追求したものが「ノン・ドサージュ」のシャンパンです。

ノン・ドサージュの最大の魅力は、葡萄本来の味わいをストレートに楽しめること。甘みの補正がない分、果実のピュアな風味、フレッシュな酸味、ミネラル感などが際立ちます。そのクリアな味わいは料理とのペアリングにも優れており、特に和食やシーフードなどの繊細な料理や天ぷらなどの揚げ物と相性抜群です。



おすすめの「ノン・ドサージュ」シャンパン

ピノ・ノワールの優良産地であるモンターニュ・ド・ランスのグラン・クリュ“ブージー村”、“アンボネイ村”にて極上のシャンパンを造る生産者「アンドレ・クルエ」。今回ご紹介するのは、そんなアンドレ・クルエが手掛けるノン・ドサージュ・シャンパン「シルバー・ブリュット・ナチュール」です。


「シルバー・ブリュット・ナチュール」はピノ・ノワール100%のブラン・ド・ノワール(黒葡萄のみ造られるシャンパンのこと)です。ドサージュは行わず、上質なピノ・ノワールのピュアな味わいをそのまま表現した、他とは一線を画すキャラクターのシャンパンとなっております。

人気ワイン漫画「神の雫」の中では、『倍の値段がついてもおかしくないワイン』と絶賛され、コストパフォーマンスの高さでも注目されています。


昨年4月にラベルデザインが大きく変更され、トラディショナルなデザインから光の反射(ホログラム)を活かしたモダンなスタイルへと生まれ変わりました。ホログラムの装飾が光を反射し、照明やボトルの置き方によって色が変わり、オリジナリティを演出しております。

また、手作りのフォントを使用し、ボトルネックのデザインでは「真面目な印象を避け、ライトで楽しい感じ」を表現するために文字が混ぜられるなど、細部にもアンドレ・クルエのこだわりが詰まっています。

現当主のジャン・フランソワ氏は伝統的なスタイルを尊重しつつも、枠にとらわれないシャンパン造りを行ってきました。そのため、今回のようにカジュアルに寄せたスタイルを選んだのかもしれません。


ぜひこの機会に、ノン・ドサージュの奥深い世界を体験してみてください!