2025/02/05 15:13
スペインの「トロ」をご存じでしょうか?この地方は、スペインの中でも力強く濃厚な赤ワインを生み出すことで知られています。
今回は、「トロ」の特徴とその魅力について詳しく解説し、この地域の赤ワインが持つ豊かな風味や深みが堪能できるおすすめのワインをご紹介いたします!ぜひ最後までご覧ください。
「トロ」の基本情報

「トロ」はスペイン内陸部カスティーリャ・イ・レオン州にあるワイン産地です。
ティンタ・デ・トロ(テンプラニーリョ)から造られるトロの赤ワインは、かつてはアルコール度数が高く、濃厚で荒々しい印象を持たれていました。しかし近年では、濃厚ながらも洗練されたワインとして高く評価されています。
1990年代までトロはほとんど知られていない産地でしたが、スペインを代表する名門ベガ・シシリアがこの地にボデガ(ワイナリー)を設立したことや、スペインのトップワイナリーのひとつであるエグレン家が手掛けるヌマンシア・テルメスなど、革新的なワインの登場によって一躍その名を世界に知らしめました。
「トロ」のテロワール

トロには、東西にドゥエロ川、南北にグアレーニャ川・タランダ川が流れます。標高は600~750m程度で、同じくドゥエロ川流域に広がる産地リベラ・デル・ドゥエロ(標高750~850m)に比べるとやや低い位置にあります。
年間降水量は約400mmと、一般的に葡萄栽培に必要とされる量を大きく下回ります。年間の日照時間は2,600時間を超え、夏は非常に高温で乾燥する気候が特徴です。
土壌は砂岩の風化や粘土質、石灰質の礫岩などで、水はけの良い土壌が特徴。
スペインでも19世紀末にフィロキセラ(葡萄の根に寄生する害虫)が広がり、大きな被害をもたらしましたが、トロの砂質土壌はフィロキセラに対する耐性があったため、比較的被害が少なく済みました。その結果、現在でもアメリカ系台木への接ぎ木をしていない「自根」の葡萄樹が多く残っています。
「トロ」の葡萄品種とワインの特徴

トロの主要品種は「ティンタ・デ・トロ」で、これはスペインの主要品種である「テンプラニーリョ」のシノニム(別名)です。テンプラニーリョはスペイン全土で広く栽培されており、リオハやリベラ・デル・ドゥエロなどの主要産地でも高品質なワインが造られています。しかし、トロにおけるティンタ・デ・トロは、これらの産地のテンプラニーリョとは少し異なる特徴を持ちます。
この違いの要因のひとつが、トロの厳しい気候条件にあります。
トロは夏の暑さが非常に厳しく、昼夜の寒暖差も大きいため、葡萄は完熟しやすく、結果としてアルコール度数が高く、濃厚で力強い味わいのワインが生まれます。リオハやリベラ・デル・ドゥエロのテンプラニーリョと比べると、タンニンが豊富で骨格のしっかりしたワインになりやすいのも特徴です。実際に、「トロのワインを飲むには“ナイフとフォーク”が必要」というジョークがあるほどです。
さらに先述の通り、トロにはフィロキセラの被害を免れた自根の葡萄樹が多く残っており、これらの樹齢の高い樹から得られる葡萄は、より凝縮感のある複雑な風味を持つワインになります。そのため、トロの赤ワインは単に力強いだけでなく、豊かな果実味や深みのある味わいが楽しめるものが多く、高品質なスペインワインとして
世界的な評価を得ています。
「トロ」で造られるおすすめワイン
スペイン初のワイン・アドヴォケイト100点を獲得したエグレン家がトロにて手掛けるワイナリー「テソ・ラ・モンハ」。今回ご紹介するのは和食にも寄り添うトロの赤ワイン「ロマニコ」です。
「ロマニコ」はパワフルな印象の強いトロワインの中でも、特に“エレガンス”を意識した1本。ティンタ・デ・トロ種の“可憐さ”や“奥ゆかしさ”を引き出すことを重視し、豊かな果実味と美しい酸を持つ洗練されたワインです。バランスが良くエレガントな味わいで、和食とも見事に調和する、おすすめのスペインワインです。特に、醤油を使用した和食との相性が抜群で、ロマニコの豊かな果実味が醤油のコクと旨味を引き立て、お料理全体の味わいに深みを与えます。
おすすめのペアリングレシピを記載したカードもご用意しておりますので、ぜひご家庭でお試しくださいね♪